第50回 電極についてのお話  2019年12月

早いもので、2019年も残りあとひと月足らずとなりました。
年末年始を控え、皆様あわただしい日々をお過ごしのことと思います。

12月といえばかつては真冬のイメージでしたが、弊社の在る関西地方は未だ紅葉の真っ盛り。正に晩秋といった趣です。
これも巷間囁かれる地球温暖化の影響なのでしょうか。

さて今回は、センサの電極についてのお話です。
弊社の製品は、静電容量計であれレベル計であれ水分計であれ、
いずれも検出対象の誘電率や導電率を測定するセンサ部と、
センサ部で取得した信号を増幅・演算・出力する変換器部とで
構成されており、センサと変換器を一つの筐体に収めた一体型と、
それぞれを別の筐体に収めた分離型とがあります。
電極はセンサ部の先端に取り付けられ、検出対象に接触して、
それらの誘電率や導電率を電気信号として捉える
大変重要な構成部品です。
静電容量計やレベル計や水分計の主な検出対象は、
液体や紛体・粒体ですので、それらの測定に用いられる電極は、
一般的には金属製の丸棒や筒、並行平板等になります。

弊社製品
これらの電極については、以前に【第16回 影の主役「電極」について 2016年7月】の方でご紹介させて頂いておりますので、
そちらも併せてご覧頂ければと思います。

しかし弊社では、このようなソリッド状金属の電極以外にも、
用途に合わせて導電性ゴムや
極細ワイヤーで編み上げた金属メッシュ等を用いた、
柔軟で密着性のある電極もご用意しております。
これらの電極は、木材や繊維や紙といった
傷つきやすく切れや破れの恐れのある、
繊細な取り扱いを要する検出対象の測定に実績があります。

また他にも、表面に凹凸がある物や
形状が一様では無いような物の測定に対して適用が考えられます。
このように、それぞれの検出対象に対して
最適な電極を考案し作りあげていくことで、弊社製品の用途が広がり、
更に多くのお客様にお使いいただけるものと思っております。

これからも皆様のお役に立てるよう日々創意と工夫を重ねてまいりますので、
何かでお困りの際には、是非一度弊社にお声掛けください。

新型電極

 第49回 粉体・粒体の流量計  2019年10月

FM-701型

技術部の古本です。
2019年も早々と10月になり、時間が経つのは早いなーと感嘆するばかりです。
今回は粉体・粒体の流量計をご紹介いたします。
弊社の「FM-701型」という機器は粉体・粒体の流量測定に特化した機器となっております。

特化した特徴の1つが「高感度である」ことです。
この「高感度」というのは、「小さい変化を大きく捉えることが出来る」という考え方です。

普段、静電容量に馴染みの無い方はF(ファラド)単位では理解し難い(私の説明能力が低いだけです…笑)と思いますので「高感度」=「小さい変化を大きく捉えることが出来る」という考え方を顕微鏡を使って例えてみたいと思います。

学生の時分などに理科や化学で顕微鏡を使用した経験があると思います。
顕微鏡は小さい物を拡大して見ることが出来きますね。
小さい物を拡大する際の指標として倍率が使われますが、倍率=感度と考えて下さい。
例えば、倍率100倍の顕微鏡と倍率1000倍の顕微鏡では1000倍の顕微鏡の方がより微小な測定物を捉えることが出来ますよね。

弊社の「高感度」=「小さい変化を大きく捉えることが出来る」は、まさに顕微鏡の倍率と同じで、「高感度」であれば微小な測定物(静電容量変化)を捉えることが出来るということなのです。

実際にどの程度かというと 「第24回 ピコを超えるフェムトの世界」 でも紹介しているのですが、弊社の静電容量測定は基本的にはp(ピコ)という単位であることが多いです。
pは10のマイナス12乗であり、0.000000000001です。
この時点で0が多すぎて良くわからないですね…汗。
冒頭に挙げた「高感度」である「FM-701型」は、1p単位の変化から更に小さい0.01p単位の変化を測定することが可能です。
これは10のマイナス14乗であり、0.00000000000001です。
正直、0が多すぎて12乗も14乗も良くわからないです…笑。

ミリ、マイクロ、ナノ… 1000分の1ずつ小さくなる数です

接頭辞読み方
ミリ(milli)10-3
μマイクロ(micro)10-6
ナノ(nano)10-9
ピコ(pico)10-12
フェムト(femto)10-15
アト(atto)10-18
ゼプト(zepto)10-21
ヨクト(yocto)10-24
測定原理

それでは本題です。
粉体・粒体の流量測定に特化した「FM-701型」における「高感度」について。

粉体・粒体というのは読んで字の如く、粉や粒という性状となります。
このことは水などの液体と比較すると隣り合う測定物同士の間に空気が含まれていることを意味します。
空気というのは静電容量測定において基準点とすることが多く、
空気が多く含まれるほどに測定物から得られる静電量変化が小さくなります。

例えば静電容量測定において、全体の99%を空気が占めており残り1%が測定物であるような場合は、極僅かな変化しか現れませんね。
粉体・粒体は静電容量測定を行っている電極間に水蒸気が霧散しているようなイメージです。

測定物が水(比誘電率≒80)であっても、空気が多く含まれていると容量変化は小さくなります。
そのため、粉体や粒体を測定するには「高感度」が必要となるのです。

弊社では粉体・粒体における測定を旧来から行っており、現在に至ってもお客様に安心してご使用いただいております。
また、流量計や流量測定においても、大手メーカー様各社にまとまった台数を納入した実績もございます。
1分あたり数グラムというような少量の測定も実績がございますので、なにかお困りの測定がございましたら、お問い合わせお待ちしております。

 第48回 「MOBIO」での説明会を終えて  2019年8月

今月の「Y.E.I.の芽」は技術部の岡野が担当致します。
8月、連日猛暑日が続いていますが水分をしっかり取って乗り切りましょう。

先日、東大阪の 「MOBIO ものづくりビジネスセンター大阪」にて、Y.E.I.の機器を知っていただくための説明会を実施致しました。 今回は、その説明会で特に反響の良かった製品についてご紹介致します。

スパイラルセンサ

まず、常設中の スパイラルセンサです。
この製品の特長は柔軟性と細さで、様々な箇所に設置が可能です。
金属のセンサとは違い接液部は全てフッ素樹脂で金属の露出部分はありません。
そのため金属イオンの影響を受けることはありません。

会場では、ボタンを押すとチューブ内の液体が上昇し、レベルセンサが水位を測定し数値を様々な形式で表示するという装置を展示しております。
是非一度ご覧下さい

展示装置

次に静電容量式 テルミン(レベルスイッチ型)です。
テルミンとは…楽器に触れず音を出すあのテルミンです。

弊社機器の感度であればセンサに触れずに検知できるため、「センサと手の距離の変化=静電容量の変化」を音階に変化させることにより、テルミンのように(楽器と手の距離を変化させることで)音を奏でることを可能にしました。
詳しくはHPをご覧ください

テルミン

このように弊社は静電容量一筋46年、「静電容量の変化を捉える」ことに関して実績と経験がございます。

レベルスイッチでは、誘電率の低い泡も容易に検知することができます。
水分計では、液体の中に含まれる気泡の割合を計測できるボイド率計もございます。

今まで困難であった測定も弊社機器であれば測定を可能にします。
何かお困りのことがございましたら一度ご連絡下さい。

 第47回 令和最初の「Y.E.I.の芽」  2019年6月

皆様、冬が終わり、春が来たと思ったら、30℃の日々いかがお過ごしでしょうか?
令和第1弾の「Y.E.I.の芽」は中川が担当させていただきます。

私ごとではありますが、
5月より営業部の技術サポートも担当させていただく事になりましたので、
今までよりも皆様とお会いする機会が増えるのを楽しみにしております。

さて話は変わりますが、
皆様はセンサーでお困りのことは御座いませんか?

工場

とても唐突な質問ですが、品質保持の基準も厳しくなってきている昨今、過去にはセンサーの必要なかった箇所に、今後はセンサーを取り付けなければならない様な事は御座いませんか?
弊社には品質管理のお役に立てそうな、物性変化監視計 DOM-24 をはじめ、油中水分計 OM-13 や洗浄剤水分計 GM-115 等をラインナップしております。

現在センサーの取付スペースが無いとお困りの皆様も弊社に一度ご相談ください!
弊社では以前よりお客様のご使用に応じた専用品を多数作成しております。
お手元に装置の図面が御座いましたら、一度弊社へご相談ください!
皆様の装置の1部品をセンサーに変更する事も可能です。
測定出来るセンサーが無ければ、一度弊社へご相談ください!
静電容量で様々な変化を捉えることが出来ます。
静電容量式のみならず様々な測定をご提案させていただきます。

くどいですがお困りの測定が御座いましたら、一度弊社へご相談ください!

 第46回 センシング機器の活用  2019年3月

お世話になっております。今月の担当は営業部の辻本となっております。
お付き合いいただけますと幸いです。

さて、今月のタイトルは【センシング機器の活用】。
今更ながらの内容をあえて取り扱ってみたいと思います。


というのも、弊社宛にお問い合わせいただく内容のほとんどが

「○○○の製造において品質の均一化をしたい!」
「高品質をユーザーに訴えるために品質を数値化(視える化)したい!」
「粘度の高い測定物で、しかもセンサー取付け条件がシビアで、高温対応で…etc. etc.」

ありがたいです。弊社製品のお引合いとてもありがたいです。

ですが一点、センシング機器取扱い営業担当として提案したいことがございます。
それは…センシング機器の更なる応用に関して!です。

問い合わせ
タンク溢れ


これまで私が担当させていただいたお客様の多くがやはり製品自体を測定対象としたものです。

タンクからの溢れや空検知、品質の数値化や混錬状況など多種には及びますが、そのどれもがあくまでも測定したい対象に対してのセンシングとなっています。
もちろんセンシング機器としては当然ですが至極当たり前の役割であり、弊社もその為に広くご活用いただける製品を長年研究・開発してまいりました。

ですが、もったいないです…。
そう! もったいないんです!!!

一部のお客様には既にご採用いただいているのですが、例えば油中水分計。
当然ですが製品としての燃料や原料をはじめとした油の品質管理や、食品油関連にももちろんご活用いただいております。
ですがこの機器、【油中水分計】というネーミングの通り油の水分量を測定します。
もう一度言います。油の水分量を測定します。

これをお読みの方で「あっ!」と思われた方も多いかと思いますが、そうです。
本機器はあくまでも油の水分量を測定する機器のため、例えば採用実績でお伝えさせていただきますと装置自体の潤滑油の状況把握なんかに使うことも可能です。

つまり今回のこのY.E.I.の芽で私がお伝えしたいのは、
品質管理とは製品の管理だけではないということです。


当然、完成した製品自体の品質の管理も必要ですが、ランニングにおける廃棄率の低下や、メンテナンスへのアプローチ頻度の割り出しやメンテナンス担当員の負担の軽減、不具合の発生や発生時の状況ログの収集など、これからの品質管理は製品を生み出す装置自体にも及ぶであろうことは、今の世の中の流れを鑑みると明白ではないでしょうか。

競合他社との差別化という点でもそうですが、最終的に製品購入元となるユーザー様での品質に対してのコンプライアンスが厳しくなっている昨今では、やはり製品だけではないトータルなセンシングによる監視が必要と考えております。

工場ライン

弊社 株式会社 Y.E.I.では45年以上の確かな実績と経験、そして何よりもオーダーメイド性による柔軟な対応で、お客様の製品管理・装置監視にぴったりとマッチしたセンシング機器をご提案いたします。

本文拙くはありますが、ここまでお読みいただいて「何かやってみたいな…」と感じていただけたご担当者様はぜひご一報ください。
貴社に最適なセンシングのコーディネートをさせていただきます。

もちろん装置メーカー様からの専用機器の開発とOEM供給に関しても承っておりますので、まずは御気軽に ご相談ください。
弊社のキャッチコピー「その測定、工夫すれば可能です」をしっかり実感いただけますよ。

 第45回 新製品発売開始!  2019年1月

昨年末、東京の展示会で満を持してお披露目しました 「新製品NK-3」
非常に楽しみな製品が販売開始されました。

まずは、紹介動画をご覧ください。

これまで弊社油中水分計は、何千台もの実績があるのですが、
今回の水分計はここが凄い!

  • 電池駆動のモバイル型
  • データロガー機能搭載
  • 水分、温度、深さを同時にリアルタイム計測(複合センサー)
  • サンプリング機能
  • 本質安全防爆の認証機器

これ以外にもたくさんのこだわりを持ち、試行錯誤を繰り返し、やっと一つの製品に仕上がりました。
お使いいただいたお客様からの評価も上々です。
後は、この機器が、日本だけでなく世界中で活躍してほしいと願うばかりです。

これからも皆様のお役に立てる機器を開発できるよう日々精進してまいります。
今年もよろしくお願いいたします。